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0さんのこと

久しぶりにOさんの顔を見に行こうと思ったのは用事でOさんの家の近くまで来てからのことでした。震災のニュースの中のお年寄りを見て、高齢のOさんのことが気になっていたのです。今年99歳になられるOさん。Oさんと知り合ってからもう何十年もにもなります。私が在職中、図書の営業で学校回りをしておられました。50歳代後半に奥さんにガンが見つかり、憔悴しきっていたときからのことを昨日のように思い出します。1年後奥さんを亡くされ、力をなくしていたOさんが俄然「こんなことではいけない」と毎朝4時に起きて書道をし、散歩をして仕事を再開されたのでした。そして水彩画までも始めれ、人並みはずれた精神力で数年前まで水彩画と書を描いてこられ、いろんな賞を受賞されて、絵はポルトガルでも紹介されました。今年の年賀状ももちろん水彩画でいただきました。
もう何年もOさんの家に行っていないので、団地の中の似たような家からOさんの家を見つけるのに時間がかかりました。大阪での小学校の教師を退職してOさんと一緒に暮らしている私と同年の娘さんが、Oさんに私が来たことを告げて、テレビのある部屋に案内してくれました。Oさんは震災の報道を見ながら、「私はシベリア抑留の経験があるからこの人たちの気持ちがよくわかる。想像を絶する経験は経験をしたものしか分からん」。「体調はどんなですか?」と聞くと「気力はあるけど体力がついて来ない」と残念そうに言われ、そっと1枚の葉書を手渡しました。白寿記念の個展の案内状でした。個展の出品作全部の写真が貼ってあるアルバムも。帰り際、葉書を持って帰ろうとすると、後でちゃんと住所を書いたものを発送するからと一枚一枚宛名書きをされるとのこと。99歳とは思われない凛とした態度と精神力に感服すると同時に私も将来こうありたいと思いました。

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